04.業績モニタリング

東北電力 平成29年3月期決算

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ようやく5泊6日の出張から戻ってきました。某地方で調査の仕事をしてきたのですが、仕事の合間に観光もできましたし、ドライブ感覚で案外楽しかったです。さて、帰宅したので先月末の投資先各社の決算をチェックしてみます。まずは東北電力から。

売上高 :1兆9,495億円(前期比 -7.0%)
営業利益:1,342億円(-31.3%)
経常利益:1,047億円(-31.4%)
純利益 :699億円(-28.1%)

減収減益決算で印象が良くありませんが、資料を読んでいくと印象ほど悪い内容ではありません。

まず売上減ですが、電力会社の売上は制度上いろんな要素に振り回されます。例えば再生可能エネルギーの発電が増えれば交付金が増え、原油価格や為替の影響で電気料金が上下するという具合です。そういう「ノイズ」を排除して残るのが「販売電力量」です。東北電力の販売電力量は前期比でマイナス1.1%、工場などの太い契約先の契約数が減少が響いたようで、電気代値上げの副作用がまだ続いているようです。原発が動かせないと値下げできないでしょうから、ここは耐えるしかないです。

利益ついては、燃料費調整のタイムラグ効果剥落のインパクトが大きく、これだけで650億円利益を押し下げています。マイナス金利導入による割引率の低下で退職給付費用が276億円増加しています。退職金制度のある企業の場合、マイナス金利の副作用が無視できません。新火力発電所の稼働による増益効果で多少挽回していますが、利益は大幅減となりました。制度上の不可抗力的な要素で減益となりましたが、燃料調整費のタイムラグは一過性(長期的にはプラマイゼロ)で、退職給付費用増も恒久的なものではありません。確かに減益幅は大きいですが、背景を考察すると深刻な問題を抱えているというではありません。よって私はあまり気にしていません。

キャッシュフローを見ると、営業CFで投資CFを賄えています。この面でも大きな心配はありません。自己資本比率も前年比で1.6ポイント増加して、着々と体力回復が進んでいます。

今期予測は増収減益ですが、販売電力量減と燃料調整費タイムラグの影響を織り込んだ内容なので、そこそこ信頼できそうな気がします。企業体質を考えれば多少保守的な予測でしょうから、結果として増益決算というシナリオも十分に期待できると思います。昨年までは通期業績予想非開示でしたが、今回開示してくれたので投資家として助かります。

配当は40円の予定です。これはちょっとサプライズでして、中間配当20円の発表はもう少し先と思っていました。業績予測を開示したり配当増の発表を前倒ししたり、会社側は近々の業績に自信を持っているのではないでしょうか。。

というわけで、前期決算上の数字は表面的にイマイチながらも、全体的には満足できる内容であると判断しました。制度に振り回されながらも、やるべきことはしっかり手を打っている印象です。増配も自信の表れでしょう。投資判断に変更はなく、このままホールドしていきます。

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