本日、吉野家HDの株主総会に参加してきましたので、その様子をレポートします。
場所は中野サンプラザ、JR中野駅近くで便利な場所です。ザット見る限りですが、参加した株主は1,000人までは行かないまでも、それに近いように感じました。やはり年配の株主が中心ですが、サラリーマン投資家風の比較的若い人も少なくなかったです。ちなみに吉野家HDの株主数は28万人もいるそうで驚きました!
定刻10時から総会が始まりまして、まず事業報告がありました。私みたいな新参者にも分かりやすい説明でした。次はお待ちかねの質疑応答の時間です。皆さん積極的に挙手していました。質疑応答の概要は次の通りです。
Q1.吉野家で使える電子マネーはWAONだけだが、なぜWAONなのか?他の電子マネーを導入したらどうか?
A1.イオングループとの提携(?)がありWAONを導入した。他の電子マネー導入の必要性を感じているが利用手数料がバカにならず、いまの収益力では負担が大きい。
Q2.新発売のベジ丼の野菜はどこの国のものか?リスクヘッジは考えているのか?マックの二の舞は困る。
A2.高品質のものなら国にこだわらない。国産もあればベトナム、エクアドル、メキシコ産もある。管理は徹底している。
Q3.「どん」の戦略を詳しく聞きたい。中国に深入りするリスクは認識しているか?
A3.「どん」は下期の食材購入単価が現地価格だけで1.5倍になり、為替の影響もありコストが2倍となったので減益となった。これには値上げで対応し、生産性向上のために今期は店舗の改装を進めていく。中国ではもう20年もビジネスをしていて400店を展開、コツは心得ている。リスクを最小にするよう手を打っている。東南アジアにも進出し、分散も図っている。
Q4.衛生管理は万全か?
A4.対応部署を強化した。認証の取得も検討中。
Q5.10年計画というのは気が長すぎるのでは?タコ足配当もよくないし、戦略もヌルいと思うが社長の見解はどうか?
A5.外食産業では昔の勝ちパターン(大量出店、コスト減、マニュアル化など)が通用しなくっていて、新しいビジネスモデルが必要だ。数年単位で結果を出そうとすれば、どうしても小改善程度のことしか出来ない。外食産業創生期のようなイノベーションを起こすには試行錯誤や準備期間が必要で10年ということにした。もちろん、できるだけ早く結果を出したい。試行錯誤や実験で3年、新しいノウハウを実店舗に広めるのが3年、合計6年くらいで何とかしたい。
Q6.ビールキャンペーンをやっていたが、実施店舗が分かりにくかった。
A6.改善していきたい。
Q7.消費税増税に伴う家賃不払いの報道について、説明を聞きたい。
A7.内税方式の契約で賃料据え置きということで家主と合意していたが、法的には不適切であった。
Q8.牛を全頭買いすればコストダウンできるのでは?
A8.使わない部位もあるので、一概にはそうとも言えない。部位が競合しない他社と共同で購入できればその可能性はある。
Q9.TPPで関税(牛肉38.5%)が下がれば利益は増えるか?
A9.関税引き下げは追い風には違いないが、需給や為替、新興国の購買力アップという要素もあるので、総合的にどうなるかは不透明である。
Q10.総会でお茶が一杯もでないのはどうかと思う。
A10.運営面を総合的に考えて判断している。
質疑応答で1時間半弱でしょうか。その後議案審議に入りまして、問題なく採決されました。総会終了は11時55分ころです。
ここからは感想です。会社の事業戦力は悪くないな、と思いました。「人、健康、テクノロジー」をキーワードに事業を進めるというビジョンはなかなか聞きごたえがありました。
それと熱心な株主が多いと感じました。厳しい質問もありましたが、逆に言えばそれだけ応援されているということでしょう。正直に言いますと、「優待を増やせ」「店舗でこんな失礼なことさたがどうなっているんだ」という質問が多いのではと予想していましたが、そういう質問は少なく、他社に比べても株主のレベルが高いという印象です。これは意外でしたね。
よい会社なので、株価の動向に関わらず、もうしばらく保有してみようと思います。ちなみに飲み物やお土産はありませんでしたが、個人的にはこういうのはもう少し会社が儲かるようになってからでいいのではと思います。以上、吉野家HD株主総会のレポートでした。