最近、年金が2000万円足りないという報道が一人歩きして世間を騒がせているようです。それを政治問題化したい人たちに煽られているようにも見えます。年金定期便を読みつつ、老後の生活費に月々いくらかかるのかを想像できる人たちにとっては、大体いくら足りないとか、いくら余るという話は既に明らかな問題なわけで、今更何を騒いでいるのだろうと不思議な感じです。
私の場合、給料水準をこのまま維持したとして、貰える年金は年額で160万円(厚生年金、企業年金合計)くらいです。生活費は住宅ローンを完済した後慎ましく暮らしたとして月に20万円くらいでしょうから、支出は年に240万円です。年金だけだと年に80万円マイナスですが、配当などの不労所得でカバーできるので全く心配していません。
一方、この問題を契機として、将来に向けて何かを始めようという前向きな動きもあるようです。私も少し触発されまして、これまであまり興味のなかった個人年金保険への加入を検討をしてみました。
ネットでいろいろ調べまして、もし自分が加入するならばJAの「ライフロード」という商品がいいかなと思いました。少額から始められて、経営母体の関係からあまりコストも高くなさそうな点が、他の商品と比べて優れていそうです。
ライフロードへの加入を「投資」として考えてみた場合のリターンを、エクセルを使ってざっくり計算してみました。今後16年程度の間、年6万円の保険料を支払い、60歳になったら10年に分けて年金を受け取るという前提条件です。
確定申告により保険料の一部が還付(税率は所得税20%、住民税10%と想定)されることも考慮して、保険料支払い開始から70歳の年金受け取り終了時までの複利利回りは、およそ2.0%と試算されました。
毎年の保険料6万円に対して、確定申告等による還付は9,800円(所得税35,000円×20%+住民税28,000円×10%)で、単年度では9,800円÷60,000円≒16.3%のリターンがありますが、その後は0.5%から1.5%程度で運用されるので、長期的にはリターンが落ちてしまい、結果として全体で2.0%ほどの利回りになってしまうのです。ちなみにこのリターンは保険料の支払期間が短くなるほど上昇し、長くなるほど下がりますのでご注意ください。2.0%は上記の前提条件下のリターンです。
この2.0%の利回りを許容できるかどうかは、各個人の考え方次第です。既に手元に十分なお金があって、少しでも増えればよい人にとっては、銀行に置いておくよりマシという結論にもなりえますし、資金が長期間拘束されることを考えて躊躇する人もいるでしょう。
私の場合は、株式投資に比べるとリターンが少し物足りないなあと感じます。個人年金保険の中では相対的にいいと思うのですが、資産を積極的に増やす手法としてはちょっとインパクトに欠けるかなと。そもそも投資としてこの商品を考えることは適切ではないと思うので、それは仕方ないことではあるのですが。
ただ、積極的な資産形成の手段としてはイマイチでも、金融資産ポートフォリオの中の守りの一要素として持っておくには悪くない気も多少します。ということで、資料を取り寄せてもう少し研究してみたいと考えています。続報があれば後日記事にしたいと思います。
【追記】
・条件の設定ミスがあったため記述を修正(年金受取期間5年→10年)
・税制上の制約により、受取期間は10年以上に設定する必要があるため修正
・投下資金の回収が後ろ倒しになるため複利利回りも低下(2.5%→2.0%)