延期となっておりました桧家HDの決算ですが、当初予定より1週間遅れて昨日開示がありました。全体で見れば「思っていた以上に悪くてガッカリ」というのが私の第一印象でした。いつもの通り事業部別に点検してみます。
①注文住宅事業
最も重要な事業領域で、減収減益となりました。でも会社を庇う訳ではないですが、毎年第一四半期っていつもこんな感じです。2年前なんかは赤字でしたしね。今回の売上=引渡した分は、恐らく増税後の受注低迷期に請けたものでしょう。赤字が出ても不思議ではないのですが、何とか黒字を確保できただけマシだと思います。
明るい材料としては、受注棟数が回復傾向にあることでしょう。単価も少しずつ改善傾向にあるようです(コスト上昇に見合っているのかは不明です)。計算すると受注残は400億超となりまして、これはここ数年単位で見ても結構な高水準ですから、少なくとも売上に関しては、目先少し弱いかもしれませんが、一年後にはまずまずの数字になるものと予測します。
②不動産事業
ここも減収減益です。リリースを見ると増税の反動とありますが、確かにそういう部分では仕方のないのかもしれません。販売単価が3,000円台前半と大きく低下しているのですが、これはパパマルブランドの販売が増えたためでしょう。在庫の回転はよろしくないです。この分野も稼げてはいませんが、黒字になっただけ御の字という感じだと思います。
③断熱材事業
大苦戦です。今回のガッカリ決算の原因はここです。どうやら作業車の納品に関して売上計上認識のバトルがあったものと想像します。ここを会計士に指摘されて、この1週間ほどバトルしていたのでしょう。
リフォーム断熱事業というと、私は売上=工事費と考えていたのですが、少なくても現時点では協力会社に対する機材販売が大きな柱であったようです。機材販売が一段落すれば業績も落ち着くのでしょうが、当面はこういう不安定な要素に業績が左右されるリスクを無視できませんね。いずれ利益化するので、中長期的にみて致命的な問題ではないと思います。でもまあ某他社のように不適切な会計処理という話ではなくて安心しました。あと管理部門の強化も日本アクアの課題ですね。
④介護保育事業
介護事業は稼働率が上がらず売上減小とのこと。せめて稼働率は上げてほしいです。。説明会で聞いた話では入居費用もそれなりのようなので、価格競争で苦戦しているのでしょう。ノウハウがないのであれば事業を売却した方がよいのではないでしょうか?
ちなみにこの事業は明光ネットワークジャパンから購入したもので、この会社は私の投資先でもあります。明光の方が一枚上手でしたね。
反面、保育事業が頑張ったようで、介護保育セグメントとしては増収となり、前年同期比で赤字が減っています。
⑤まとめ
リリースを見ると集計方法の変更を行ったようで、前年同期の実績と正確に比較することが難しいです。その変更の過程で、見栄えが良くなるように多少手を加えたのでは?という疑念も多少あるのですが、そうであったとしても業績自体が振るわず焼け石に水という印象です。
個別に分析してみると、大コケしたのは断熱材事業だけで、あとは苦戦しながらも最低限のラインを守っています。今までは断熱材事業が苦戦する他の事業をカバーしてきましたが、最近は断熱材も苦戦、代わりに全社を牽引する事業がないので、こんな見た目の悪い数字になったのではないでしょうか。
⑥今後の予測
個人的には、数字ほど事業の内情は酷いものではないと思います。しかし数字の印象が悪すぎるので、当面株価は軟調に動くと思います。増税の反動という背景はわかりますが、すでに増税から1年が経ち、今の数字がこの会社の実力ということを考えれば、全社でかつてのような高収益力を取り返せるかは疑問に思います。そういう意味で株価が下落しても積極的に拾いに行こうという気持ちはありません。高収益力を取り戻せるとしたら日本アクアの断熱材だけと考えているので、もし大きく下がれば数年寝かせるつもりで少し買うかもしれません。